クラウド経理ソフトの歴史については、1990年代後半から2000年代初頭にかけて、インターネット技術が急速に発展したことによって、従来のオンプレミス型の経理ソフトウェアから、クラウド型の経理ソフトウェアへと移行が進みました。この背景には、クラウド型の経理ソフトウェアが、従来の経理ソフトウェアよりも低コストで、より使いやすく、より柔軟な利用が可能であることがあげられます。

最初期のクラウド経理ソフトとしては、2000年代初頭に登場したNetLedger（後のNetsuite）があります。これは、オンラインの会計システムとして、販売、会計、在庫管理、請求書作成、従業員管理などの機能を提供していました。その後、2006年には、アメリカのXeroが登場し、2008年には、日本のfreeeがサービスを開始し、クラウド型の経理ソフトウェア市場が拡大しました。

現在、クラウド経理ソフトウェアは、中小企業を中心に広く利用されており、多くのベンダーがサービスを提供しています。クラウド経理ソフトウェアの普及により、従来は煩雑で手間のかかる経理業務が、効率的かつ簡単に行えるようになりました。また、クラウド型の経理ソフトウェアは、データの共有やアクセス性が高く、遠隔地からでも簡単にアクセスできるため、テレワークが推進される現代社会においては、ますます需要が高まっています。

今後、クラウド経理ソフトウェアの市場は、ますます拡大すると予想されます。例えば、人工知能やロボティックプロセスオートメーション（RPA）といった技術を組み合わせた、より高度な業務自動化や、ビジネスインテリジェンス（BI）を活用した経営判断の強化など、様々な新しい機能が追加されることが期待されます。また、AI技術の進化により、会計処理や税務申告などのような業務でも、より高速かつ正確な処理が可能になると考えられています。さらに、クラウド経理ソフトウェアの利用が一般的になることで、ビジネスにおけるデジタルトランスフォーメーションが加速されると予想されます。

ただし、デジタル化による効率化や自動化は、経理業務においても人的な労働力を削減する可能性があるため、社会的にも大きな影響が考えられます。このため、労働環境の改善や、教育・スキルアップ支援など、社会的なバランスを考慮した政策が求められるでしょう。

また、クラウド経理ソフトウェアの普及に伴い、セキュリティ上のリスクも増加しています。サーバーの盗難やデータ漏洩、サービス提供会社の倒産などにより、重要な情報や機密情報が外部に漏れる可能性があるため、セキュリティ対策の徹底が求められます。

以上のように、クラウド経理ソフトウェアは、2000年代初頭から急速に普及し、現在では中小企業を中心に幅広く利用されています。今後も、より高度な業務自動化やビジネスインテリジェンスなど、新たな機能が追加されることが期待されますが、その一方で、労働環境の改善やセキュリティ対策の徹底など、社会的なバランスのとれた発展が求められます。