私が小学高学年になった頃から、ずっと専業主婦だった母が働きに出るようになりました。 今まで自宅に帰れば母がいて、それが当たり前だと思っていました。 母が働きに出るようになってから、私は鍵っ子になりました。 かぎに紐をつけて首からぶら下げて、その鍵を大事そうに持っている友達をみて 親から大事な家の鍵を任されている、特別な存在のように思えて かっこよく見えました。 私も友達のように両親が働きに出るようになり、両親から鍵を預からせてもらえると思っていました。 しかし、私の性格をよく知っている両親は玄関の鍵を私には託してくれませんんでした。 物を失くす事も、忘れてしまう事も多い私に鍵を預けることが不安だったのでしょう。
両親は、鍵を普段使われていない牛乳箱に隠すことにしました。 今思えば、牛乳箱に隠すことも危ないと思うのですが 子供がわかりやすく取りやすい場所はそこしか無かったようです。 ある日、いつものように学校から帰宅した私は 牛乳箱の中に入っている鍵を取り出そうと、手を突っ込みました。 しかし、いくら探しても玄関の鍵が無いのです。 家に入れないので、親に連絡もとれず母親が帰ってくるまで外で一人で待っていました。 間違って両親が持っていってしまったようで、その日から私は自宅の鍵を任されるようになり 嬉しかった事を覚えています。