昔から我が家では果物を食べた後など、種が出た際には庭に適当に埋めていました。そのうちのいくつかはたまに芽をだすのですが、いろんな種を植えているため、また、埋めるだけで特に何も世話はしないため、いったい何の芽なのかわからないうちに枯れてしまうばかりでした。 そんな中、父が地元のお城のゴミ拾いで拾ってきた、という種をいくつか埋めました。例のごとく、いったい何の種かもわからず、そのまま忘れ去られていたのですが、ある日、ずいぶんと成長した芽を発見します。いったい何の果物かな?程度の認識でしたが、しばらくたってその中の一つがずいぶん大きくなり、その葉をみると、どうやらケヤキのようでした。そこに至って初めて、父が拾ってきたあの種がケヤキの種であったと気づいたのです。
ケヤキはどんどん大きくなりました。あっという間に私の背を超え、一般家庭の庭木としてはなんだか不釣合いな状態になりました。 2mを超える大きさになったころでしょうか。隣の家の敷地に枝が侵入するようになりました。まさかこんな樹が育つとは思っていなかったため、庭の端に植えすぎたのです。隣に入りそうな枝はそのたびに切っていたのですが、素人が切るものですから、だんだんゆがんだまま上に成長するようになりました。 ここに至って、父はケヤキを切ることを決断します。愛着がわいてしまっていた私は反対しましたが、これ以上はうちの庭のキャパシティを考えても厳しいといわれました。あの日のケヤキの種が、まさかここまでなるとはだれも想像できませんでした。 ケヤキは切られてしまいましたが、約10㎝もの切り株の周りからは小さな芽がたくさん出ており、現在、緑を楽しませてくれています。