消費税抜本的な税制改革で最も論議を呼んだのは消費税の導入でした。これまで我が国の消費課税は個別間接税から成り立っていました。個々別々に課税物品を指定する方式です。奢侈品に課税できるというのが個別間接税制度の長所ですが、時代の推移とともに奢侈品は変わります。

かつて課税されていたサトウや電気洗濯機やテレビが奢侈品であると思う人は少ないでしょう。乗用車も地域によってはむしろ必需品といえます。また消費は物品の消費からサービスの消費にウエイトを移してきていますが、わが国の個別間接税はサービス消費をほとんどとらえていないという問題を抱えていました。先進諸国は早くからいわゆる課税ベースの広い間接税制度を導入しています。我が国は高度成長の成果のひとつとして、高度で多様な消費生活を享受しています。そのような社会では他の先進諸国と同様に広く消費そのものに課税する中立的な間接税を持つことがふさわしいと考えられます。来るべき高齢化社会に対応するための安定的な財源の確保という点でもそのような間接税制度の採用は望ましいことです。