イタチ駆除はDIYで「できること」と「やってはいけないこと」を分けて進めるのが前提。捕獲は原則として許可や専門資格が必要で、個人が行えるのは追い出し・侵入口の封鎖・衛生処理の準備までと考える。実務の基本線は「観察→一時的追い出し→恒久封鎖→清掃消毒→再侵入監視」。まず①安全確保と記録:天井裏は足場不良・釘や配線露出があるためヘルメット・手袋・防じんマスクを着用し、活動時間帯・音の位置・臭い・糞の写真を残す。②出入り口の仮特定:外周を昼間に確認し、軒先や配管まわり、換気口、屋根と外壁の取り合いの隙間をチェック。通り道にはベビーパウダーを薄く撒き足跡で動線を読む。③一時的追い出し:日没前に強光LEDや人感ライトを通路に向け、動物用の忌避スプレーを梁や開口部の「線」に沿って短期間だけ使用する(幼獣がいる繁殖期は“閉じ込め”を避けるため夜間の完全封鎖はしない)。④恒久封鎖の段取り:動きが外へ抜けたことを2〜3晩確認してから、6〜9mm目のステンレス網や金属プレート+ビス+L金具+防鼠パテで開口を閉じる。換気機能が必要な開口は逆流防止ルーバーや金網二重化で通気を確保。⑤清掃・消毒:糞尿は二重袋で回収し、洗剤→消毒→乾燥→必要に応じて断熱材交換。最後に⑥再侵入監視:安価なセンサーやスマホ録音で数日フォローし、静穏が続けば完了。 忌避剤の効果と限界は次のとおり。効果が出やすい条件は「通路をピンポイントで断つ」「換気が少ない閉所に短期集中で使う」「日没前に散布して行動開始直前に匂い障壁を作る」。一方の限界は、屋外では風雨で希釈されやすく、天井裏の広い空間では濃度維持が難しいこと、個体が数日で慣れること、臭気が室内側に回り衛生上の不快を招くこと。したがって忌避剤は“出し切り”までの時間稼ぎとして位置づけ、恒久封鎖とセットで使うのが前提になる。 超音波機器は「直進性が強く遮蔽物に弱い」「断熱材や荷物で減衰する」「周波数固定だと順応されやすい」ため、単体での長期抑止力は限定的。可変周波数・ランダム発振の機種を、動線の見通しが利く位置に複数設置し、人感ライトや光・匂いと併用すると“いやな環境”の総量を上げられるが、最終的な効果は開口封鎖に劣る。またペット(小動物・犬猫)が不快反応を示す場合があるため事前確認が必要。 DIY適性の目安は「単発的な侵入」「開口が低所で数か所以内」「雨仕舞いに手を入れずに金網で塞げる」ケース。逆に「天井裏の強い獣臭・大量の糞尿」「配線かじりや断熱材の広域損傷」「高所・急勾配屋根での作業」「繁殖期で幼獣が残る可能性」「侵入口が多数・構造的」なら専門業者案件と判断する。業者は散水・サーモ・内視鏡で侵入経路を面と点で特定し、一方通行ゲートで“出し切り”→全周封鎖→消毒脱臭まで一気通貫で実施、再侵入保証(1〜3年)を付けるのが一般的。 NG行為は明確に避ける。毒餌や粘着シート、捕獲器の無許可使用、夜間の全面封鎖による閉じ込め、煙の燻蒸、素手での糞処理、高所作業の無落下対策、感電リスク無対策の天井裏侵入はいずれも重大事故・違法・再発の原因。要点は「匂いと音は時間稼ぎ、決着は構造(開口)でつける」。観察で仮説を立て、光・忌避・超音波で外へ追い、昼間に機械固定+金属材料で塞ぎ、衛生処理と監視で仕上げる—この順序を守れば、DIYでも被害拡大を抑えつつ確度高く再侵入を止められる。